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2月に入り、感染者数が増えている。

[2024.02.12]

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240209/k10014353481000.html

新型コロナが流行し、様々な行動制限があった頃のように感染症が増えている。計測法が変わったことを差し引いても、流行していると思って間違いない。

インフルエンザも再流行している。

ただし、最近はB型が主なので流行は今後収束すると予測している。ただ、B型インフルエンザに長らく感染していない方や、インフルエンザワクチン未接種の子どもにとって脅威のウイルスだともいえる。乳児で未接種の場合、特に注意が必要だ。

少し落ち着いた感があるのは、溶連菌感染症。ただし、溶連菌検査キットが長らく入手できない状況にあり当方の外来においても検査できず、臨床所見での判断が主となる。更に悪いことに、抗生剤、特にペニシリン製剤(サワシリン、オーグメンチンなど)、特に粉薬が不足している薬局が多発している。カゼが長引き、抗生剤投与が増えたことや、後発品の供給不足、ウクライナ問題等による流通の問題などうわさは絶えないが、処方箋を書いても薬が手に入るまでに時間がかかっては治療効果は半減どころか、意味がなくなる。早く改善してほしいものだ。

長期間感染症流行したことにより、抗生剤以外のかぜ薬、特にトランサミン散(粉薬)が不足しており院外処方箋での対応に苦慮している。咳止めに関しても、同じ効果でもシロップ、散剤(粉薬)、ドライシロップ(粉、甘い)、錠剤などすべて十分な在庫があるとは限らいないので、問い合わせも非常に多いが非常事態が続いている。ある薬で調整するしかない。平時のようになんでもあるという状況ではない。粉薬を希望されると、その薬を探しに薬局をめぐることも想定しなければならいない状況だ。そうならないためには、処方する薬を減らすことも一つの方法(申し出があれば、減らすことはできる)だが、症状緩和に必要な薬が手に入らないというのは残念な状況だ。タミフルにしても、ドライシロップ(粉薬)が無いので、カプセルの中身を出して調剤してくれる薬局から報告の連絡をいただくことも増えている。理想的な状況とは言えない。

もう一つ言えば、かぜウイルスの検査キット(インフル、コロナ、RS、アデノ、溶連菌)の入荷が無い。厚労省から出荷調整の指示が出て、医薬品卸業者も納品を厳しく制限されているとのこと。戦後の食糧不足時と同じように、決まった数の入荷しかない。驚くほど少ないので、毎日発熱患者が数十人来院するあい小児科にとっては非常に苦しい状況でやりくりしている。兄弟姉妹、家族の場合、検査せず見込みで診断して投薬するなどの対応を迫られる時が来るかもしれない。(今のところ、インフルとコロナは十分だが、このまま入荷が無いと3月中に在庫が切れる)

花粉症の症状が出始めているので、今後は抗アレルギー剤の粉、目薬、点鼻薬なども品薄になることが予想される。

地域全体で患者が急増すると、どうしても医療資源は相対的に不足する。

我々もギリギリのところで最大限努力をしているが、出荷調整や全国的な医薬品不足に関してはどうすることもできない。

あい小児科では、今シーズンのインフルエンザワクチン予防接種を終了した。インフルエンザ予防接種は、有料なので可能な限り安い価格で提供してきた。(2回接種で5,000円。)東京なら、1回分の値段で2回接種してきた。今年は値上げが必要になる。感染してからの医療費を無料にするより、効果的な予防接種であるインフルエンザ予防接種ぐらい無料にしたらどうかと思うが埼玉県は高齢者しか補助しない。確かに高齢者がインフルエンザで死亡する例も多い。高齢者のケアを厚くしないと議員の票に結びつかないので、どうしても高齢者の補助が手厚くなるのが高齢化社会の現実だ。この国は、人が死なないとなかなか動かないが致し方ない。医療者は制度、法令に従うしかない。医師がワクチン代を自分で出して安くしている構造が理想的とは言えないと私は感じている。何を優先するかは、国や県で決めてもらうしかない。

振り返るとやれるこは、予防接種だけなのだと毎年の事だが実感する。今年も、RSウイルスが夏に流行すればシナジス注射の接種時期が早まり冬の前にシナジスによるRSウイルス感染予防効果が早く切れてしまう。冬にRSウイルスが流行した場合、接種対象である低体重、低出生体重児などの乳児たちにとって厳しい状況が予想される。

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