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小児科専門医2人体制。

[2023.07.28]

令和5年10月より、小児科専門医が入職いたします。

予防接種・乳児健診から、発熱のお子さままでより多くの患者様に御来院していただけるようスタッフ一同心よりお待ち申し上げております。土曜、日曜の外来新設も予定しております。決まり次第、順次御報告させていただきます。

 

近況について

コロナ・インフル同時流行。コロナ5類移行後、多くの小児科は検査をすることをやめ、保育園や幼稚園、小学校では原因不明の熱が流行っています。口の中を見て診断が付くヘルパンギーナや手足口病は検査せずに診断できますが、それ以外は何らかの検査をしないとカゼとしか診断されません。原因は、小児科医療は包括診療のため、検査一つ一つを診療報酬請求できないからです。つまり、小児科は検査するだけ支出(赤字)が増えるという構造です。インフルエンザ検査も、溶連菌検査も実は請求できない(キット代を医院側が支払う)のです。コロナが2類であった時は、コロナの検査とついでにやるインフルエンザ検査のみ公費扱いで請求できました。現在は、条件付きでコロナ検査のみ保険適応(つまり医院側が保険請求できる)です。発熱外来の条件を満たしていない多くの小児科や内科は保険請求できませんので、コロナを疑っても検査しません。なぜなら、赤字が増えるからです。検査キットが無い、不足しているから検査ができないというカラクリは、キットのお金が請求できないと理解していただければ良いです。国から支給されないと検査をしない医療機関は、もらえないから無いのです。(一時、どうやっても購入できないときもあったが感染蔓延のピークの時ぐらいだった)

現在、あい小児科、あい小児科クリニックともに発熱外来の基準を満たし、埼玉県のリストの掲載させていただいておりますのでコロナの検査に関して保険請求できております。しかし、インフルエンザが流行しているのが解っていても保険請求できません。(先日、支払基金に確認した。)小児科が、インフルエンザ検査をすると検査費用(検査キット代、綿棒代など)は医院側の負担、つまり私たちの売り上げを削って検査をしています。そんなことする小児科は少ないので、原因不明の風邪が多いのです。確かに、子どもの風邪の原因を全て検索することを保険で認めた場合、医療費が高騰してしまうので現実的ではありません。ただし、5類感染症が蔓延している時ぐらい請求できるようにしてほしいものです。

振り返ってみると、コロナの前は子どもの風邪の原因は究明しないという診療報酬上の取り決めがありました。包括診療、診察にかかわる費用が一律ということは、検査するなというメッセージでもあります。これまで長く小児科診療をしてきた小児科医や内科医にとって、コロナ5類移行後、発熱やカゼの原因検索など無意味だからやらないという固定概念があります。

あい小児科の院長兼理事長であった私は、コロナが流入してきたとき多くの医療的ケア児、成人の医療的ケアが必要な在宅患者、末期がん患者、老人ホームで余生を過ごしている200人ぐらいの高齢者の方々の在宅医療の主治医を兼ねていました。特別支援学校も休校するか、しないか、登校して良いのか、悪いのか、老人ホームで高齢者が熱を出したときにどれぐらい個人防護具を使用した感染対策をすればよいのか全く分からない状況で様々な取り組みをして参りました。当時はPCR検査しか診断するすべがありませんでしたので、PCR検査を診療所が実施して良いと許認可が出たと同時にPCR設備を用意し地域で一番早く自院でのPCR検査を実現しました。当時は、自費で25000円以上かかっていたと記憶しております。なんで作ったかと言えば、医療的ケア児と高齢者を守るためであり、その家族やケアワーカーを守るためにコロナを診断することが必要でした。診断が付かない状況で学校勤務やケアを続けることで多くのクラスターが起こり、八潮でも多くの死者を出した施設があります。予防接種と検査。感染症対策で、診療所にできることはこの二つしかありませんでした。

現在は、治療薬もある程度確立し、大人の予防接種率も上がり、感染の既往も相まってコロナで死ぬ恐怖は以前に比べて非常に低くなっている印象ですが、人工呼吸器を使用していたり、合併症の有る高齢者などにとっては脅威の感染症であるのは間違いないでしょう。今のコロナは、子どもにとってはただの風邪に近いだろうと判断しています。だからと言って、検査しなくても良いということは無いのではないかというのが私の考えです。現在、八潮ではインフルエンザが多発しています。昨日も、プールに通う元気なお子さまが発熱して食欲不振ということで検査したところA型インフルエンザ陽性でした。7月27日の検査では、発熱患者8人のうち、6人がコロナ陽性、1人がインフルエンザ陽性でした。やみくもに検査しているのではなく、発熱と周辺の感染状況の問診などからコロナやインフルを疑った事例にのみ検査しているので全体の検査件数は以前に比べて少ないですが陽性率は半端なく高い。つまり、発熱したら検査すべき状況に使い流行状況であると判断できます。紀子様がコロナ感染したことが報道されました。春先の状況とは明らかに違って今流行しています。

つまり、検査しない、隔離しない、自宅療養しないことを続けていると感染が拡大して結果として地域で感染が流行して最終的には、熱中症で大変な救急外来を更に感染症が追い打ちをかけることになるでしょう。

今のコロナは多くの小児科医にとって子どもの風邪かもしれませんが、コロナとインフルは少なくとも5類感染症ですので流行しているのであれば包括診療の中であれ、医院が検査費用を負担してでも検査して正しく診断をつける、指定感染症を見逃さないという方針を再確認していただきたいものです。

検査される患者様の中には、処方箋を貰った時点で実は前の病院で薬は処方されているので検査だけで構いませんという事例が多々あります。つまり、発熱で受診したのに、検査をしない医療機関が非常に多いのが現状です。

コロナが2類から5類に代わっても、真夏のインフルエンザも、流行している状況が解っているのであれば、小児科医も、非小児科医もより正確に診断することに重点を置いて診療していただきたいものです。

私は、発熱対応、検査を優先するために在宅医療をやめました。小児科も、予防接種や乳児健診、通常の小児科外来(非感染症)があり、発熱対応自体が本業とは言えません。1人の医師で全てに対応するのは困難です。つまり、開業医が感染症対策を本気でやるのは難しいという事がこれまでのコロナ禍の経験で解りました。あい小児科は、感染症対応を強化するために小児科医を招聘し10月から小児科専門医2人体制で地域医療に取り組みます。予防接種ももちろん大事で、発達支援、慢性疾患の治療や、低出生体重児の乳児医療など発熱以外の小児科医療も充実させられるように、まずは医師を増やし、提供できる小児科医療を充実されられればと考えております。

第9波は、現状の体制で頑張るしかありません。草加のあい小児科と、八潮のあい小児科クリニック、どちらも発熱外来対応を継続しておりますので検査を希望される発熱したお子さま、親御様はウエブ予約等を御利用の上、御来院頂けると幸いです。抗原検査キットが不足するなどの事態は当面ありませんので、遠慮なく受診していただけると幸いです。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

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