感染が蔓延し、多くの子どもたちが感染しているハズだ。
子どもの新型コロナウイルス感染症の特徴について【速報】
昨年9月に、あい小児科の理事長ブログで書いた長文は大変多くの人々に読まれたようだ。子ども、コロナ陽性のキーワードで検索するとなんとトップで検索されている。書いた本人は、毎日言っていることだから特別な感想は無かった。
私は、あい小児科で毎日全員分のPCR測定を行い累計検査数はおよそ8000人分になる。あい小児科PCRセンターでは令和4年に入り、1月3日から怒涛の毎日陽性者検出があり先週は毎日20名以上陽性者が出ていた。一日のPCR検体が150人を超えたこともあり、まるクリニックの外来18時受付を終えてから草加市のあい小児科に帰宅ラッシュ時渋滞の中移動してPCR検査をすると12時を超え午前3時を超えたこともあった。無料検査を全て抗原検査にすることで、概ね100人分以内となり毎日その日のうちに測定できるようになった。(12時を超えることもめずらしくない)
八潮のまるクリニックも、毎日のように陽性者が出ている。陽性者が1人でれば、家族や会社、幼稚園や保育園ではたぶんたくさんの陽性者がいるはずだ。しかし、まるクリニックの陽性者は一桁レベル。まだ、知られていないのか、検査を受けていないのかはわからない。
1人陽性者がいれば、4人の濃厚接触者がでる
これが、日本におけるこれまでのエビデンスだ。毎日陽性者の報告があるが、最近は2に~4日遅れて報告されているため、週単位で推移をみるのが妥当だ。
1人陽性者がでれば4人の濃厚接触者がいることになる。オミクロン株がほとんどを占めるといわれる現在のコロナウイルス感染症は、潜伏期間は3日だ。3日から7日の間に感染しているかどうか判明する。つまり、発症している陽性者に接触後3日経過すれば概ねPCR検査で陰性、陽性が判定できる。接触して翌日の検査では、恐らく陰性となり検出不能だ。運よく検出できたとしても、ウイルス量が少なく過去の感染か、これからウイルスが増えて感染するのかをPCR検査で判定することはできない。濃厚接触者は、慌てて検査しないことが鉄則だ。デルタ株時代は、濃厚接触者の検査は、接触後5日以上経過してからでないと受付しなかった。濃厚接触者の待機期間は、経過観察期間である。経過観察期間のはじめのころにPCR検査をしても意味がない。検査は、発症してからでないと検出できない。
先週も、毎日新型コロナウイルスPCR検査で陽性者が出ていた。子どもの陽性者も出ている。問診の時に、保育園や幼稚園で休んでいる園児が多い、学年で休園となっているなど体調不良の園児が多いと聞いた。オミクロン株に感染した子どもたちを複数診察したが、みな比較的元気だ。発熱していても、機嫌が悪い程度で我々医師からみて点滴や酸素投与(吸入)などすぐにでも必要だというような事例は極めて少ない。どちらかというと、付き添いの子育てママ・パパの方が症状が有る場合が多い。といっても酸素飽和度が下がるほどではない。オミクロン株は、のど、鼻で急速に増殖するらしい(私は部位別に検体をとって比べたことは無い、鼻咽頭スワブのデータしかない)。言いたいのは、多くの元気な子どもにとってはオミクロン株はただの風邪であり、診断されずに保育園や幼稚園に正に通っていた可能性が高いということだ。知らない間に、幼稚園や保育園の先生方や園バスの運転手のおじさんたちに感染しているのだろうと推察している。発症するまで数日かかるから大人たちは気が付いていないだけだ。
子どものコロナで特徴的なのは、嘔吐だ。よく考えれば、咳をしたり、のどがはれたり痛くなれば子どもは反射的に嘔吐してしまかもしれないと推察できる。
確かにデルタ株の陽性者は消化器症状(下痢、腹痛、嘔吐)があった。しかし、発熱の方が頻度が明らかに高かった。だから、体温測定を徹底してやってきた。オミクロン株は、熱が出ないこともある。ワクチン未接種の子どもがオミクロン株に感染しても、熱が出ない子どもが少なからずいる。熱が出ないと幼稚園や保育園に行ってしまうと予想される。結果的に、幼稚園や保育園で知らぬ間に感染が爆発的に増えていると予想している。
また、熱が出ないお子さまが、嘔吐して救急外来を受診する。当然、胃腸炎と診断が出て整腸剤などが処方される。熱が無いからコロナの検査はしないだろう。胃腸炎と診断され投薬加療して軽快する。数日後、兄弟や家族が発熱してPCR検査を受けたら陽性。元気になった子どもを濃厚接触者としてPCR検査したら、なぜか陽性。つまり、由来は嘔吐して胃腸炎と診断されたお子さまだったのだ。治療は妥当、速やかに軽快した。担当した医師は、おそらくコロナは疑わなかったのだろう。子どもの症状は改善しても家族、特に大人はそうはいかない。この家族に、持病のある方や高齢者がいたとするとぞっとする。これが、コロナの怖いところだ。逆に言うと、元気な持病のない子どもたちにとってコロナは脅威ではないのかもしれない。まだ数日間の診療経験だが、子どものコロナ患者で再診という事例も極めて少ない。つまり、最初の風邪、胃腸炎の投与のみで軽快しているのだろう。逆に、PCR陰性で咳が止まらない子どもの方がよっぽど大変だ。ぜんそくなどの持病を持つお子さまの病気が悪化した方がむしろ大変だ。持病がある子どもはリスクが高いと考え、いち早く予防接種することをお勧めする。
話を戻して先週の陽性者の濃厚接触者のことを考える。その人たちの検査は、明日から実施することになる。単純に検査が4倍、陽性者もおそらく4倍。感染力の強いオミクロン株の場合、濃厚接触者は陽性である可能性が高いと考えるのが妥当だ。4倍に増える陽性者すべてに濃厚接触者が4人。それが、3~7日おきに繰り返されるとあっという間に2週間後は記録的な感染者数となる。つまり、2月の第一週にピークが来るのは間違いなさそうだ。概ねメディアの予測通りだ。休園、休校となるレベルに達するだろうと予測している。
休むのは簡単だが、学びや保育の時間を確保できなければ子育てママ・パパに影響が出て社会全体が休業状態となる。実質的なロックダウンのようなものだ。エッセンシャルワーカーと呼ばれる人たちの事業所は、可能な限り休業を減らすことが生き残るために必須となる。休業を減らす唯一の方法は早期発見、つまり検査と隔離だ。ワクチンはもう間に合わないと覚悟を決めることだ。そして、感染した場合の休業補償と早期復帰のための検査体制の拡充だ。
今すぐできるのは、埼玉県無料PCR検査等事業を活用した抗原検査だ。
休みたくないという事業所の皆様は、無料抗原検査を明日から毎日でも週に何回かでもやればよい。まるクリニックでも、あい小児科でも毎日実施しています。どうぞ、御来院ください。
まるクリニック 院長ブログより転載
追伸
あい小児科PCRセンターは、約3000回分のPCR検査試薬を確保しております。また、まるクリニック、あい小児科共用で抗原検査キットを約3000回分確保しております。(令和4年1月24日現在)試薬やキットが無いということはありませんので、安心して受診してください。