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新型コロナウイルス感染症の子どもたちのデータ

[2020.11.18]

あい小児科では、生後一ヶ月の赤ちゃんから、未就学児、小学生、中学生、高校生、大学生などあらゆる年代の方々のPCR検査を700回実施してきました。幸い、お子さまの陽性者は出ておりません。

今月届いた日本小児科学会の論文を見て少し驚きました。

自衛隊中央病院小児科に入院していた10名の新型コロナウイルス感染者1歳から13歳(中央値3歳)家族内感染が90%、発熱70%、下痢50%。PCR陽性日から陰性確認まで4~11日(中央値7日)を要したという内容でした。全員軽症で、治療介入なし???

血液データなどを見てもほぼ正常。予想に反してCRP値(炎症のマーカーとして通常有用なハズ)が上昇していない。しかも入院時のCt値(PCRの判定基準)が半分以上陰性。感染を判定した時は陽性であったが、入院までに陰性になっていたということになる。乳幼児がいる家族が感染すると乳幼児には感染するが下痢、発熱以外にはあまり症状が出ていなかった。つまり、隔離は必要であろうが入院する必要はほぼ無いに等しい。

隔離は必要です。高齢者は5人に1人重症化すると言われている。ここが難しいところ。

あい小児科では、発熱、風邪症状で診察している乳幼児にもPCR検査を実施しているがまだ陽性者はいない。あい小児科で即日PCR検査の結果を白黒つけて改善が無ければ基幹病院小児科等で治療を受けるのが良いだろうと考えている。PCRが陰性であれば、病院小児科側も受け入れやすいだろうと考えて迅速な結果報告と紹介状作成を心掛けております。

しかしながらこの論文を読むと、風邪症状が強く出ている場合コロナ感染症以外を考えたほうが良いのではないかと思ってしまうようなデータで驚いた。子どもはPCR検査をしない限り診断できないという見方もできる。逆に言うと、家族内でお子さまが感染したとしても、症状は軽く発熱と下痢程度で改善してしまう事例が多いという見方もできる。その点はお母様の心配事が少し減った気もするが、自分が重症化しないように注意すること、在宅療養中の健康管理、感染対策は徹底しなければならない。保育園や学校への対処や周りの目も気になるところです。

お子さまの新型コロナウイルス感染症の臨床症状が大人と違いわかりにくいということが明らかにされた。医師が解らないのだから、保育士や先生方、親御様はもっと良くわからないだろう。自分がコロナウイルスに感染するか、PCR検査するかしないと全く判断が付かない。発熱は一つのマーカーになることは明らかにされたことは良いことだ。今後も続けた方が良い。

予想はしていたが、これほどかとちょっと驚いた。勇気がいる内容だと思います。指定感染症の今後について示唆する貴重なデータになるでしょう。

論文にデータを掲載していただいた自衛隊中央病院小児科の皆様の御努力に敬意を表し、心から感謝申し上げます。

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