町のPCR屋さん
あい小児科PCRセンターは、令和2年10月より新型コロナウイルスのPCR検査を始めました。
最初はなかなか陽性が出なくて不安もありました。一つ一つ検査を繰り返した結果3000回以上検査して、150回以上の陽性判定をしました。中には、微量のRNAのみ検出される時もあり、時には陽性判定を覆したことも3回程ありました。PCR検査は、非常に鋭敏であるために偽陽性ならぬ、微陽性のような状況の時もあります。微妙な時は、何回も検査をして確かめます。外国では、微陽性は陰性と取る検査機関もあり非常に微妙です。ただ、微妙な場合はウイルス量が非常に少ないですから、臨床的にはあまり重要ではありません。既に感染性が非常に少ないと言えます。皆様の生活の中での話は、厚生労働省などから発信されている感染防護の知識や、保健所の対策が妥当だといつも感じています。陽性者の待機期間、就業制限も納得できます。
PCR検査は、あくまで手段の一つです。
最も重要なのは、初めて感染したかもしれないときの診断に活用できるということです。簡単に言うと、熱が出た時に新型コロナウイルスが原因かどうか調べるために非常に有用です。これは疑う余地がありません。熱が出ていない方、無症状の方の健康診査、スクリーニングとしてはコスト(値段)が高いというデメリットがあります。しかし、検査の精度は非常に高い。職員の検診を半年以上続けております。陰性が当たり前の検査ですが、毎回ドキドキしながら結果を診ています。幸いスタッフの陽性者は1人もいません。いないと書くと、出るのかもしれませんが今のところゼロで経過しております。知らないうちに感染して治ってしまうのがベストですが、医療者が感染源になってはならないので義務として全員検査を続けております。
PCR検査は定量的な検査です。ウイルス量が多い、少ないの判断が付きます。実はこれが非常に役に立ちます。ウイルス量が多いときは勿論感染性が高いため、隔離、入院が必要です。検査会社にPCR検査を発注している場合などは、定量的な評価が受けられない場合がほとんどです。陽性、陰性の判定のみが通知されるからです。診断目的には、それで良いと考えております。あい小児科PCRセンターでは、自院でPCR測定を実施しますので、Ct値というデータが得られます。私は臨床経過とPCR検査の結果を総合的に判断して、陽性、陰性、判定保留の判断をいたします。つまり、私一人で3000人分測定して、3000回判断したことになります。陽性判定を150回もやるまでには、それなりの経験が必要で、経験で身につくスキルは教えることが難しいかもしれません。
検体採取から、測定、判定まで3時間程度でできる医療機関は非常に稀だと自負しております。(調べたわけではない、、、)あっという間でしたが、今ではPCRの専門医、PCR屋さんと言われています。悪い気分ではなく、仕事して、職業として誇りを持ってスタッフ一同取り組んでおります。その結果が、スタッフの感染ゼロにつながっているのでしょう。
これからも町のPCR屋さんとしてPCR検査、判定を続けて参ります。