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支援学校でクラスター発生。

[2022.06.29]

https://news.yahoo.co.jp/articles/73bcd0c8ba941f49bece496329955281744836a5

あい小児科は、小児在宅医療や重症児デイサービス、生活介護施設の嘱託医活動などで医療的ケア児・者を支援している。

2年前の春休み、まだPCRが保険診療で認められていない頃訪問診療している子どもたちの学校、越谷特別支援学校での感染症対策を思い出した。

特別支援学校は、医療的ケア児のみならず様々な支援が必要な子どもたちや家族のために無くてはならない地域の重要インフラだ。文科省が管轄しており、縦割り感が否めない。医療の様に必要に応じて変化することができないのが難点だった。実際は県の管轄になるが、議会でいろいろ決めたところで、医療的ケア児の親、家族が構成するPTAが反対したら決まらない。休校を決めたり、安全確保するために数年かかると思う。ただでさえ自分たちでは感染防護が難しい生徒を政府の言うところの安心、安全な学校生活なんてとても無理。

白か、黒かはっきりするためにPCRが必要だった。感染者を同定できれば、法律で隔離できる。今時クラスターが発生するというのは、まだまだ感染対策が未熟だということの裏返しと評価している。確かに埼玉県に比べて茨城県の感染者は一桁少ない時期が続いたので累計感染者数もそれほど多くない。つまり、県全体でコロナ慣れしていない。あい小児科だけで3000人以上感染者を同定した。PCRも12000人越えだ。それなにり対応できる。

あい小児科の今の課題は、1~3月にコロナ感染した子どもたちの発熱対応だ。PCR検査をすると、微量ながらコロナ遺伝子が検出できてしまう事例が多発している。微量と言っても一定数検出できれば、陽性となるが臨床的には発熱や症状に比べウイルス数が極端に少ない場合などは新型コロナウイルス感染症と診断しないこともある。時々、臨床検査会社にPCR検査を依頼する曜日もある。コロナ感染の既往がある子供で陽性だが、Ct値を照会依頼すると偽陽性だと判定できることもある。つまり、コロナ感染から回復した子どもたちの鼻咽頭粘膜に、コロナウイルスRNA(遺伝子)の断片が残っていることがあるということだ。発熱外来に来院するレベルの風邪症状が有れば、一定量のウイルス量、つまりCt値が低い値がでることが通常だ。Ct値が低い、つまりウイルス量が多ければ、必ず抗原検査が陽性になる。偽陽性事例は、直近半年以内ぐらいで、抗原検査陰性、PCR検査陽性、Ct値33以上(ウイルス量が少ないが、コロナ遺伝子は検出できる程度)。

実は今、PCR検査が不要だという現実に直面している。臨床的には抗原検査が有用だ。発熱などの症状を伴うコロナ感染であれば抗原検査の方が判断しやすい。過去に感染した事例のPCR検査は、偽陽性の可能性が高くなる。むしろ抗原検査が有用。しかし、感染歴が無ければ感度の高いPCR検査でのスクリーニングは、抗原検査に勝る。見逃し、つまりウイルス数が少ない時期や潜伏期間での偽陰性(つまり診断できない)は、抗原検査の方が多くなってしまうのが現状だ。

議論はあるだろうが、なし崩し的に2類感染症の指定が終われば、そもそも検査が不要になる。未だに小児科で処方できる薬が無い。つまり、診断は隔離が目的だ。こんな検査、もうやめても良いのではないかと自問自答している。

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