最近はやりのコロナは、ワクチンが効かない。
7月に入り、3回目の予防接種を終えたばかりの方々が、PCR検査で陽性となることが増えた。今年に入り一度コロナに感染した子どもも、大人も再び感染するケースも増えた。どうやらBA.5系統と呼ばれる新型コロナウイルス・オミクロン株は、免疫をすり抜けるようだ。ワクチンによる予防効果も、過去の感染で獲得した免疫も、感染防止には役に立たない。重症化予防には役に立っているに違いないと思いたい。コロナウイルスは変異が早く、ワクチンが難しい、予防接種自体が難しいという意見は、コロナ禍の前半で議論されていた。ワクチンができたとたんに飛びついた。しかし、とうとうワクチン予防接種では、感染防止できない株がやってきたようだ。重症化予防の評価はもう少し時間が必要だと思う。
令和4年一月初旬に感じたオミクロン株の最初のころより、感染力が強い印象を受ける。家族全員、ほぼ全員が初診時に診断がつく、つまり抗原定性検査やPCR検査で陽性が出ることも今までより多い。これまでは、発熱するまで検査、受診を控えてくださいと言っていたが、濃厚接触者で熱が出ていない状態(つまり、感染初期あるいは潜伏期間)でも抗原定性検査で陽性、あるいはPCR検査で陽性となることも今までより多い。これまで流行した新型コロナウイルス感染症の中で、最も感染力が強いのではないかという印象を持っている。これは海外の論文の考察ではなく、あい小児科PCRセンターの結果から考察した印象だ。
ただ、ワクチンは感染防止には効果がないかもしれないが重症化防止には間違いなく効いているという印象だ。3回目接種を終えている大人の印象を聞くと、私これから悪くなるんですか?と聞き直してくる人が多いぐらいだ。発熱とのどの痛み程度でおさまっているのはワクチン予防接種の効果なのであろう。6月の感染は、ワクチン未接種者が多かった。単に私の印象だけかもしれないが、ワクチン非接種層でウイルスがくすぶっていただけでワクチン接種者にとっては完全に収束したと思ってもよい状態だったと推察している。
今回のBA.5系統は今までと違う感じがする。年明けにデルタ株でないコロナが来た時の印象と似ている。今回の株は感染力がとても強く、重症化しないカゼという印象。それならば、通常防御、通常の感染対策で経済を抑制するような行動制限は避けるべきだ。熱が出る期間も短いので、発熱のスクリーニングと換気、感染対策は今後も重要だ。最初から医療崩壊している地域をピックアップして、医療崩壊と叫ぶのもどうかと思う。こんな軽い風邪で国家が揺らぐようであるならば、この先の高齢化社会はますます不安が増すばかりだ。