【小児の無症候性感染者について】
https://www.jpeds.com/article/S0022-3476(20)31023-4/fulltext
上記論文の内容要約抜粋。
感染が確認された小児の気道からは、極めて高いレベルのウイルスが確認され、集中治療室で治療を受けている成人患者のウイルス量を上回っていたと報告されている。そして、これまでは症状がある人を感染対象として対策を講じてきたため、大人に対する予防策が進められてきた。感染した小児は、無症候でも保有するウイルス量が極めて多いことから今後は、小児の感染防止対策、特に教育現場での感染予防対策を見直すべきだと考察されている。
あい小児科の対応と考察
当院は、予防接種、乳児検診と新型コロナウイルスのPCR検査は時間、場所を変えて実施して参りました。しかし、この論文を参考にすると予防接種を受けに来る、体温上昇の無い子供たちの中にも新型コロナ陽性者がいる可能性が有る。体温検査だけでは不十分だということを示唆している。予防接種を行う前に全員に対してPCRや抗原検査をやるというのも実際は難しい。
小児科外来、予防接種・乳児検診外来ともにどこまで検査するのかについて再び考えさせられるきっかけとなりました。論文の内容を考慮すると、子供たちを院内に入れればその中には無症候であってもウイルス量が多い無症状の子供が混じっているかもしれないということになる。
学校ならサンプリングして、モニタリングするという方法があるが、生後2~3か月の乳児に対して全例検査するのかと言われると簡単には決断できない。あい小児科のPCRセンターでは、生後1ヶ月の乳児からPCR検査を実施してきました。技術的に不可能ではありませんが、PCR検査は現状高額であり全員に対して実施するのは現実的ではありません。勿論、検査費用についても御家族負担となると難しい。そもそも予防接種費用より、PCR検査の方が高額となる。同行する兄弟や、お母さんたちの検査はどうなるのか?外来に来る人全員に検査するのか?
予防にどれだけのコストがかけられるのか?スクリーニングならコストが安く、その場で結果が解る抗原検査が選択肢となる。網羅的に検査するとなると、PCRより抗原検査が有利だ。しかし、予防接種後の経過観察時間を考慮すると1時間以上院内に滞在していただくことになる。一人の滞在時間が長くなれば、院内の密度は必然的に上がってしまう。
さて、どうにかなるのでしょうか?。